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2008年11月16日

ホーボーTORATAKEDA

 11月15日僕と息子は旅にでた。満ち足りた現代社会から、そっと姿を消すように・・・。荷物は必要最低限。そうすることで僕と息子は人間としての原点に立ち返ることができるはずだ。 天候は曇り。11月の寒さが僕と幼い息子に容赦なく襲い掛かる。場所は関係ない。「人がいない」 このことが重要だ。僕と息子は人里離れた川原に泊まることにした。

ホーボーTORATAKEDA



 まず最初の仕事はこの冷えきった体を暖める為、火を起こすことだ。朝露に濡れた木々はなかなか火がついてくれない。普段なんでも親任せの息子も体が熱を欲しているのだろう。お互い言葉もなく、ただ黙々と火を付けることに専念した。ようやく小さな火が着き始めると、幼い息子がやっと口を開いた。「あったかい」 ただ一言。普段物に満たされた生活を続けている人間にはわからない深く重みある一言だった。

ホーボーTORATAKEDA


 それからわたしと息子は川遊びなどしながら1日を過ごした。やはり子供は逞しい。こんな過酷な状況でも遊びを考え、充分以上に遊べてしまう。自分達大人がどこかに置き忘れてしまった感覚だ。純粋に楽しんでいる。そんな息子を見てなぜか無性にうれしかった。

ホーボーTORATAKEDA


 この時期の夜は早い。僕と息子は焚火を囲みながら飯を食い、いろんなことを話した。学校のこと、友達のこと、今日泳いでいた魚のこと、話は尽きない。息子が楽しく話す姿がたまらなく愛おしい。その日僕と息子は遊び疲れて、19時くらいに寝てしまった。外は寒くてたまらないがシュラフの中はなんて温かいのだろう。温かいという感覚が逆に寒いという感覚を僕に教えてくれるようだ。

ホーボーTORATAKEDA


 ただ僕は22時くらいに目を覚ました。辺りがやけに明るいのだ。さっき息子と夕食をとっているときは、ランタンの灯りがないと10メートルも進めないくらいの暗闇だった。ただ今は明るい。50メートル先でも見渡せるくらいだ。この暗闇を楽しもうと、僕は息子を起こさないよう気をつかいながら、そっとテントを出た。昼間息子と苦労して付けた焚き火の火がまだ少し残っている。やさしい灯りだ。そっと薪を入れてやり、風をすこし送り込むと火はまた元気を取り戻した。昼間とはまた違った火だ。昼間の火は力強い火だった。まるで父親のような火だ。今の火は違う。ただ僕に温もりとやさしい灯りをくれる母親のような火だ。そんなやさしい火に見守られながら、僕はバーボンを飲んだ。僕は旅に出る時はバーボンと決めている。癖のある香りと味が旅という特別なリキュールと絡み合い最高のカクテルになるのだ。そんなカクテルに酔いながら、一人暗闇の中で焚き火を見つめている。純粋に、「生きている」という事を実感できる。旅に出て良かった。格別な時間を十分堪能した後、わたしは息子のいるテントに戻っていった。

ホーボーTORATAKEDA


翌朝僕と息子は軽く朝食を取った後、撤収の準備を始めた。やはり言葉はない。僕は明日からまた仕事だ。息子も学校に行かなくてはならない。でも、人のいる日常に戻ることに抵抗を感じる自分がいる。息子も同じ感覚なんだろう。作業が遅々と進まない。最後に息子と2日間お世話になった火に最後の薪をあげた。 「また来ような」 息子と自分にそう約束して、僕達は日常に舞い戻ってきた。
旅に出る前の僕以上の僕になって。




ホーボーTORATAKEDA



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Posted by ベイダー卿 at 21:14│Comments(18)キャンプ
この記事へのコメント
途中までtoratakedaさんだと気付かなかった・・・・・^^;
シリアスな小説風味を堪能させていただきました。
で、、、、いつもの文章に次から戻るの?
Posted by KuradonKuradon at 2008年11月16日 21:41
>kuradon様
こんばんは
やっぱり真面目な感じは疲れます!!もう2度とやらないでしょう(笑)
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月16日 21:44
また気になってブログに来てしまった…
この間は失礼した。
毎日チェックしている俺は結構偉いぞ。
息子のT君はでかくなったな。
一緒に風呂に入ったころが懐かしい。
Posted by kassina at 2008年11月16日 22:01
>kassina様
フフフ
うらやましいダローーー!!
早くおっきくなって一緒に遊べるといいな!!
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月16日 22:04
拝啓 ホーボー様
パイネの紀行文も素晴らしかったですが、
今回はそれ以上に感動しました!
サインしてください!
Posted by takupontakupon at 2008年11月16日 22:22
ホーボー様はもういません。どっぷり疲れたので、二度と執筆しないでしょう(笑)
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月16日 22:26
何見てパクった。
T田の文章ではない。
少し感動した自分が情けない。
Posted by dchan at 2008年11月16日 23:24
失礼なKINGめ!!
パクッてないですよーーー!!これがリアルT田ですよ~~~~!!!
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月16日 23:26
こんばんわ☆

違うブログに立入ってしまったかと思いました(笑)
今度僕の幕体にサインください(爆)
Posted by 涼月 at 2008年11月16日 23:29
大丈夫ですよ~~
明日からまたいつもに戻ります(笑)
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月16日 23:33
毎日見ています。
日ごろの文体との使い分け、見事でっす!
師匠と呼ばせてください。
Posted by toki at 2008年11月17日 06:33
>toki様
ありがとうございます。そう言っていただくと、苦労したかいがあります。これからもよろしくお願いします。
Posted by toratakeda at 2008年11月17日 08:40
じっくり読まさせて頂きました。
誰かを知らずに読めば感動したのでしょうが・・・toratakedaさんって分かってたので、なぜかクスクス笑いながら読んでしまいました。(すいません)

この文章だけだと無事に一日過ごされたようで何よりです。(ほんとうでしょうか?)

次回が楽しみです。
Posted by my-redsmy-reds at 2008年11月17日 12:27
>my-reds様
それがこの記事の正しい読み方です(笑)
Posted by toratakeda at 2008年11月17日 15:43
こんにちは。

内容はステキなのに、どうしてもtoratakedaサンが書いてると思うと笑ってしまいます(笑)
相当、無理をなさったんじゃないでしょうか?(笑)
Posted by あたみ at 2008年11月17日 16:46
>あたみ様
はい
かなり無理しました。おかげで肩が腱鞘炎です(笑)
Posted by toratakeda at 2008年11月17日 17:46
すいません、初めて来て、ずっこけました(笑) いや足跡を残したことが1・2度あったか?

何れにせよ、また寄りますので宜しく御願いします。
Posted by roadman71roadman71 at 2008年11月18日 13:33
>roadman71様
こちらこそコメントありがとうございます!!
私のほうもまた寄せていただきます!!
よろしくお願いいたします。
Posted by toratakedatoratakeda at 2008年11月19日 10:58
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