チームブラピ 始動 MainChapter

ベイダー卿

2012年04月23日 23:21




前回までのあらすじ

渾身の記事を書いたにも関わらず、ほとんどコメントが入らない状況に激怒したベイダー卿は千葉県市川市に向けてスターデストロイヤー艦隊を向かわせた。それを阻止すべく庶務2課が単独で動くが秀岳荘で遭えなくベイダー卿に敗れてしまう。このままでは危ないタンタカ特別顧問!!どうなる特別顧問??




MainChapter



川の水は冷たい。
しかも雪解け水が流入した川は洪水の様だ。

まだ早い。

そう思いながらも口にはしない。

僕達は延々と竿を振り続ける。

やはり当たりは無い。
ススキノならば竿の一振りで満足するが
こちらは振り続けても未だ成果はない。

場所を変えよう。

巨匠が呟いた。







巨匠が選んだのは山間にある支流のひとつ。
ここに来るまで通った川はどれも濁流と化し
内心釣りを諦めかけていたのだけれど、
この支流は流れは早いものの川の水は澄んでいた。





川の水にどっぷり腰まで浸かり竿をゆっくり振り回す。
描いたループが前方では真っ直ぐ伸びてすっと水に落ちる。
その後ラインが流され、流れの遠心力を利用しながらフライを引いてくる。
この作業を繰り返すのみ。
単調な作業のように思えるが、これがなかなかドキドキする。
自分の狙い通りの所にフライを流し込めた時は救心が必要かと思う程だ。

そんな作業を繰り返していると後ろでバシャバシャという音が聞こえた。
巨匠が魚を掛けている。
一目でわかった。
虹子さんだ。
僕達が求愛している老婆ではなかったが、
魚体は若々しく光り輝いていた。





僕の竿に出なかったのは多少悔しかったが、
半年振りの虹子さんとの再会である。
お互い抱き合わんばかりに喜んだ。

その後どちらの竿にも当たりが出ることは無かった。
シーズン始めのご挨拶と言った釣果だろうか。

日が傾きかけた頃、竿を畳んで僕達はベースキャンプに戻って来た。




かんぱーい!!
昨晩に引き続き二人だけの乾杯。

1日川の中で踏ん張った足腰から程よい疲れを感じる。
ビールを呑むためにグイッと頭を傾けると素晴らしい夕焼けが見えた。

最高だ。

気温もちょうど良い。
僕達はテンティピから椅子とテーブルを引っ張り出し、
外で呑み始めた。
夕焼けが森の向こうに消え始め、今度は星々が交代で輝き出す。
第二幕の始まりだ。





ランタンの代わりに薪に火を灯す。
隣ではジュウジュウ肉を焼いている。
正直焚き火の灯りと星々の灯りだけでは肉の焼き加減が分からない。
でもそんなのどうだっていい。
多少生だろうが、焦げていようが旨い。
この素晴らしいSceneの中では何喰ったって最高に旨い。





僕達しかいないフィールドに笑い声がコダマする。
ケダマはいない。
笑い声が響き渡り、こんな森の中で肉を焼いて居ても熊鈴なんて必要ない。





気温が下がるに従って、酒がバーボンに代わる。
ゆらゆら揺れる炎を見つめながらグビっとバーボンのストレートを胃袋に流し込む。
するとくわぁっと胃袋から喉仏に向けて身体の中の焚き火が始まる。
燃える二重奏だ。





二重奏が四重奏に代わり、もう何重奏か分からなくなった頃
僕達はダウンシェラフに転がり込んだ。
ああっ気持ちよい。
あっという間に眠りに落ちた。






翌朝

ベースキャンプを片付け、昨日の場所に向かう。
天気は最高だが、風が強い。
やはりあたりは無い。

また来よう。
始まったばかりだから。

そう言い残して僕達は立ち去った。


Team Brad Pitt FirstShoot


Special thanks ・・・

" Mr.a-bar"

Photograph by Mr.a-bar

2012.04.20-22 beider 



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